矢ケ崎公園の池は、
軽井沢駅のすぐそばにあるのに、不思議と静かだ。

― 駅前で、深呼吸できる場所 ―

新幹線を降りて、歩いて数分。
さっきまで聞こえていた改札の音やアナウンスが、
池のまわりではすっと遠のく。

水面には浅間山の輪郭と、ゆっくり流れる雲。
ベンチに腰を下ろす人も、
芝生を歩く人も、どこか急いでいない。

ここは「目的地」じゃなくていい。
待ち合わせの前、次の予定までの合間、
ただ少し、軽井沢の空気に体を慣らすための場所。

駅を出て最初に立ち寄るのにも、
旅の終わりに余韻を残すのにも、
ちょうどいい距離と、ちょうどいい静けさ。

軽井沢は、駅を出た瞬間から始まっている。
そのことを、いちばん優しく教えてくれる池。

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